人の顔をなかなか覚えられない。人以外の犬や昆虫の顔なら覚えられるという意味ではない。出会った人の顔をあとで正確に思い浮かべることができなくなってしまった。以前はできた。数年前に会った人や、それより昔の学生時代のクラスメイトの顔などはいまも忘れない。頭の中で立体として動かせる。でも、最近初めて会った人の顔はうろ覚えになる。昔の知り合いの誰かに似たものとして記憶され、しだいに同化されていく。
そもそも人に興味がないとか、相手と目を合わせず顔を見ないからわからないのだと思っていた。でも違うようだ。昨年、久しぶりに好きな人ができて、駅まで一緒に帰ったりしたのだが、家に帰ってから思い返しても声は再生されるのに画がはっきり出ない。高橋尚子さんに似ている人なので高橋尚子として表示される。
当たり前にできたことが年をとって衰えただけの話か。若いアイドルがみんな同じに見えるというようなものか。有名人の顔は写真や映像で見ることが多いからか覚えられるけれども。立体の認識力が衰えているのだろうか。アニメの観過ぎだろうか。そのおかげで話者認識力は鍛えられているからいいか。
