PS2『オペレーターズサイド』。ジャンルは「ボイスアクションアドベンチャー」ということで、行き先や調べる対象を音声で指示するアドベンチャーゲームです。戦闘はアクションだけど音声で操作します。「撃て」とか「避けて」とか。
マイク同梱版にはヘッドセット風のマイクが同梱されているのですが、ヘッドセットを装着しながらゲームをやっている姿を家族に見られたくはないです。手持ち型のマイクならまだ恥ずかしさは薄れます。ジャレコの『スーパーマイクチャン』に同梱されていたマイクが役に立つ日がついに来ました。USB対応マイクコンバータなら何でも使えるので、安売りしていた音声認識サッカーのやつとか、パソコンのボイスチャット用のマイクも使えるっぽいです。小声でぼそぼそっとしゃべったけでも認識されるので部屋の扉を閉めておけば家族に気付かれることはなさそうです。
音声認識は優秀で、戦闘中に「撃って、リロード、回復」と言えば瞬時に正確に行動してくれます。でもキーワードになっている言葉意外は応用が利かなくて、「くつした、ぬげ、くれ!」とか指示しても認識すらしてくれませんでした。「ふざけないで」とか言ってほしかったのですが。「逃げろ」と指示するときは、「逃げて」でも「逃げるにゃーの」でも反応します。
『ラクガキ王国』を初めてやったときの「自分の描いた絵が立体になって動くよ、すげー! 21世紀ってすげー! ゲームの新しい可能性を見た!」というのと同じような感動を期待していたのですがそれほどでもなかったです。入力方法がボタンから声に変わっただけのことなので。音声認識のゲームはドリキャスの『さくらももこ劇場 コジコジ』しかやった事が無かったので、それと比べると認識精度が良くてすごいですが。『NOeL』みたいなギャルゲーが音声認識に対応する日も近しですか。
最初の敵に倒されてみたり、その後「協力してくれない?」と言われたときに「いいえ」「やだ」と言いつづけているとゲームオーバーになって、飛ばせないチュートリアルとプロローグムービーをもう一度繰り返すことになります。状況に応じてどんな言葉に反応するかを探しながら遊んでいるのでぜんぜん進まないです。返事をするときに「わかった」「ラジャー」「了解」「はい」「OK」とかいろいろ試してみたり。
12時間ほどでクリア。途中で回復アイテムが尽きてどうしようもなくなって最初からやり直しました。慣れればけっこうサクサク進みました。
音声認識は、戦闘での指示、移動先や調べる物の指定、その他ストーリーの展開に沿った質問など、場面ごとに認識される言葉が限られています。だから意味不明なエロワードを吐いてもあっさり無視されます。でも、例えば使えそうな武器の名前を挙げる場面では、ヌンチャクとかトンファーとかマキビシとかにもリアクションが用意されています。無駄なところが細かいです。
ゲームに話し掛けるなんてキモーイキモーイとわかってるけど自分は今後のゲーム文化の研究のためにあえてやってるんだよ!と最初は思っていました。ヒロインのリオさんについても、最初は生意気なクソ女だと思いました。事務的な返答しかしないし。最後まで、ラブを感じさせるような媚びたセリフはほとんど無いです。それでも、いくつものピンチを協力してくぐり抜けているうちに愛着がわいてきました。もう、絶対に生きて脱出して、二人で楽しく会話をして幸せな家庭を築きたいと思うまでになりました。
入力した音声に対応した返答が用意されているだけだから、タイピングでも同じことができるのだろうけど、実際に声を出して、返事をしてくれるのは、日ごろディスコミュニケーションな暮らしをしている自分にとっては破壊力高いです。危険です。21世紀ってすごい時代だ。
言葉遊びのミニゲームも、こっちは地図帳とかを引っ張り出して調べて答えてるのに負けたりして、でもそれが楽しかったり。「なんだとはなんだとはなんだとはなんだ」が特にラブリーです。
ニッポン放送のラジオ番組『東京キャラクターショーRADIO』で吉田尚記アナが「先週いちばん多く会話した相手は、リオです。」と言っていたけど、自分も確実にそうです。
「セクシーポーズ!」「こんな感じ?」
「ローキック!」「えい」
かわいい。
今回は敵を倒して生き残ることを目的としたアドベンチャーだけど、今後これを超える音声認識率で、オタク狙いのギャルゲーや『どこでもいっしょ』などが作られたら、抜け出せなくなると思います。