インパクト重視の感性のまま過ごしてきたけど、30歳を越えたころからようやく落ち着いてものを観られるようになってきました。たとえばいわゆる萌え系四コママンガを読んでもまったくおもしろくないからぜんぶ爆発オチにしろよと思っていたけどいまは侘びとしての良さを感じられます。たとえばアスリートを美しいと思える。たとえば風景を眺めているだけで一時間ぐらい潰せる。「空と海の青の違いで僕は泣いたりする。世界は美しい。レグザ」、わかるわかる。
アニメ『へうげもの』が最終回。そんな時期に観たのでとても勉強になるアニメでした。美術だけでなく歴史についても。歴史シミュレーションゲームをやっていても茶人や名品が重視される意味がわからなかったけど、少なくとも利休はでかくて超強いということがわかりました。アニメ的には、顔芸ができていたし、声優陣も渋くてかっこよかった、良い作品でした。
いま日経新聞の朝刊の連載小説が『等伯』で同時代なので合わせて読むのも一興でした。
おまけのミニ番組『へうげもの 名品名席』もおもしろかったです。中島誠之助さんが各地の名品を訪ねて「侘びを感じるねえー」「趣があるねえー」「景色があるじゃないか!」と言う。ウンコでもなんでも褒めてくれそうな安定感がありました。