最近放送が始まった、マクドナルドの「ドナルドのウワサ」のCMシリーズ。サイトにはCM四種と、そのウワサの真相を語るドナルドのインタビュー映像が公開されています。
http://www.mcdonalds.co.jp/donaldroom/
自分は、ドナルドが苦手でした。それが現実だったのか夢だったのかわからないほど子供のころ、雑居ビルのエレベーターでドナルドと二人っきりになったことがありました。ドナルドは四階で降りていきました。たった数秒ですが、初めて死について考えさせられた瞬間でした。
それ以来、あの赤髪ピエロ男のことが苦手になりました。例えばチキン屋のカーネルサンダースは動かないので、木のような安心感がありますが、ドナルドはどこかを移動し続けている神出鬼没な印象があります。ハンバーガーを食べているときはつねに背後を気にしていなければなりませんでした。
しかし、この、ドナルドの日常の暮らしにカメラを向けた映像を見たことによって考えが変わりました。「動」のドナルドではなく「静」のドナルドが映し出されています。日本的なワビサビを感じさせつつどこか自虐的なシニカルさがあります。嫌いな人の新たな一面を見たことで、少し歩み寄ってみよう、今後どこかで出会うことがあったら握手してみようという気になりました。それは罠なのかもしれません。近づいたところでランランルーを強要させられたりする新手のドナルドマジックなのかもしれません。でも、逃げてはだめなのです。男には、たとえハッピー・セットを食らわされることになってもクラッシュギアニトロのおもちゃを手に入れないといけないときがあるのです。