わかってきた。ヒントに頼りすぎていたからだめなんだ。87連敗してやっと気がついた。負けてもくじけずに挑戦し続けていたら道が開けた。
WindowsXP付属のゲーム、『スパイダーソリティア』のこと。今までは表示されるヒントにしたがってマークをそろえていた。何回もやっていくうちにカードをほとんど開けるようになったけど最後に詰まって負けていた。自分の読みの深さが足りないから負けるのだと思っていた。
だけど違った。考え方が間違っていた。マークを気にせず、空きスペースをつくることに重点を置くべきだった。空きスペースを使ってハノイの塔のように動かしていけば、マークは自然に揃っていく。
大学に行って、パソコンを起動して、スパイダソリティアをやって、帰る。そんな、中間試験二日前。
今日もスパイダーソリティアをやり続ける。「さびしい僕は地下室の すみっこでうずくまるスパイダー」だ。三割ぐらいの確率で勝てるようになってきた。「元に戻す(Ctrl+Z)」を繰り返して最善手を探索すればもっと勝てると思う。初級・中級は負ける気がしない。
これで、このゲームを攻略したことにする。そう書いて自分に言い聞かせることでスパイダ中毒から抜け出したい。意外なルートから道が開けるのがおもしろくてやめられない。気が付くと三時間ぐらい経っている。この間にアニメでも見たほうが有意義だったと後悔する。
もうやらない。そんなに暇じゃない。勝率は途中経過を保存して使いまわせばどうにでもいじれるからこだわっても意味が無い。
フリーセルにも三年ぐらいハマっていたけど、絶対に勝てる裏技(Ctrl+Shift+F10)を知ってからやる気をなくすことができた。
スパイダーソリティアのせいで留年したらシャレにならない。いや、しゃれてるか。スパイダー留年ってかっこいいかも。スパイダーって言葉の響きがかっこいい。スパイダージャーマンとかスパイダーストレッチとか。
スパイダーソリティアに勝てるようになってやる気が出てきた。なにごとも地道に努力していれば道が開けるということがわかった。次はマインスイーパ早解きだ。